私たちは、伊豆に来た。山を征服するためではない。雨や時間によって、登山道は少しずつ壊れていく。道が消えれば、人と山のつながりも、静かに途切れてしまう。だから、私たちはここに残った。石を運び、土をならし、一歩ずつ、道を取り戻す。これは、特別な誰かの物語ではない。ただ、山を忘れたくなかった人たちの記録だ。いつか、次の登山者がこの道を歩くとき、私たちの名前を知らなくてもいい。山は、きっと覚えている。